サスティナビリティ学講座Vol.11を開催しました!

サスティナビリティ学講座Vol.11

研究者も興奮!志津川湾で「発掘」された幻の魚 クダリボウズギス大解剖!を開催しました。

日時:2024年2月27日
会場:南三陸町自然環境活用センター(南三陸ネイチャーセンター)
講師:林公義氏(北里大学海洋生命科学部講師)
鈴木将太氏(南三陸ネイチャーセンター研究員)
佐藤真央氏(国立科学博物館所属 日本学術振興会 特別研究員PD)
邉見由美氏(京都大学フィールド科学教育センター助教)
阿部拓三氏(南三陸ネイチャーセンター研究員)
参加者:24名

※本講座は公益財団法人日本財団助成プログラムです。

クダリボウズギスという魚をご存知ですか?
この魚は、これまで採集例がごくわずかで、志津川湾でも2007年にたった1個体が採集されたのみの、探しても見つからない幻の魚でした。しかし、2022年春、志津川湾の思わぬ場所から「発掘」され、その変わった生態が明らかになりつつあります。今回はクダリボウズギスに関して、5名の研究者の方々にお話し頂きました。

前半は、クダリボウズギスの分類と形態について、林さん、鈴木さん、佐藤さんにお話し頂きました。
林さんは、「テンジクダイ科クダリボウズギス属魚類の研究史と分類学的問題点の整理」と題して、これまでクダリボウズギス属魚類の歴史や、現状の分類学的問題点についてお話しいただきました。

鈴木さんは、「志津川湾には「2種類のクダリボウズギス」が住んでいた」と題して、志津川湾での採集秘話や、採集された2種類のクダリボウズギスの遺伝子と形態的特徴についてお話しいただきました。

佐藤さんは「クダリボウズギス属魚類の風変わりな形態」と題して、感覚器である側線系の特殊性や稚魚期に見られる特徴的な鰭の形態的特徴、名前の由来についてお話しいただきました。(佐藤さんは西表島からオンライン配信でご登壇頂きました。)

後半は、クダリボウズギスの共生関係について、邉見さん、阿部さんにお話し頂きました。
邉見さんは「テッポウエビ類をめぐる共生関係の多様性」と題して、テッポウエビ類と魚類の共生関係についてお話し頂きました。

阿部さんは「志津川湾で明かされた下りボウズギスとテッポウエビ類のアツい関係」と題して、志津川湾に生息するクダリボウズギスが、テッポウエビ類と共生しているという報告と、その意外な暮らし方についてお話し頂きました。

今回のセミナーには町内外から多くの方にご参加頂き、クダリボウズギスという特異な魚の生き様を通して、地域の生物多様性への理解を深める場となりました。
 
ご参加いただいた皆様、ご登壇いただいた講師の林さん、鈴木さん、佐藤さん、邉見さん、阿部さん、ありがとうございました!